年の瀬ですが。 まとまった休みがもらえるこの時期、それなりのことをしないと気が済まない性分なので、このDLDBの地味な作業をまとめてやろうかと。 前回書いたとおり、数年間は最低限の更新作業のみで、ほかメンテナンスみたいなのはしてなかったわけで。 サイトのステータスに「現行」「過去」とあるんですが、これは目視でやらざるを得ないと思っていて…ここ数年分たまっているんです。 簡単に確認してステータスを更新するフローを開発できたので、ようやく先日から見直しに着手してまして。 古いものからやり始めて、2005年の登録分からコツコツやっているわけです。 まー2005年に登録したサイトなんて、ほとんど閉鎖してるかデザインの原型が残っていないだろう…と思ってたら、実はそうでもないようです。 そこでちょっと思ったことを書いてみようと。
たとえば2005年にDLDBに登録した下記サイトは、まだそのままの形で残っています。
http://www.ingreme.com/
http://www.dontclick.it/
http://www.leoburnett.ca/
ある程度の企業サイトであれば、戦略に合わせて当然リニューアルや(前もって予定されることもある)閉鎖もはっきりした意思がありますが、個人やそれに近い企業のサイトほど、何もしないまま残っている感じがあります。 ちょっとしたWebサイトはたいしてランニングがかからないので、なんとなく残している程度というのが理由なんでしょう。 そんな過去と今のWebデザインをまとめて比較すると、トレンド変遷の大局観を感じることができます(この作業を始めてから、まさに僕が感じていることなんですが…)。 過去のサイトとはいえ、意外と今見てもクオリティやコンセプト面で「やっぱカッケー」と思うものは多々あります。
が、そのカッコよさって「尖っている」感が強くて、実験的・挑戦的な試行錯誤が多いんです(僕主観ね)。 デザインに本来あるべき「解決すべき問題」っていうのがよくわかんなくて、本筋から外れた方向へ全力投球!みたいなの。 ちょっと前にもWeb全体の構造に対して似た評論があった気がしますが、Webデザインだけ見てもそれは感じ取れるわけです。 ようはWebが「わかっていない時代」の試行錯誤が表面化したWebデザインで、当時僕もそんな試行錯誤のスタイルがかっこよく見えてました(若かったよねw)。
デザイン・建築・音楽といった分野の「史学」は、それぞれ独立した研究対象になるほど重要な分野とされています。 考えてみれば、学生時代勉強してた建築の歴史にみられる主義・流行は、その国のその時期のありとあらゆる影響(政治・経済・文化)を受けて成立したものでした。 どんな時にどんな理由でその手法ができたのか、そのエッセンスは現代のデザインへどう関与しているのか…それを知ることで、自分のデザインがどうあるべきか、スタイルの芯を形成するのに影響した気がします。
Web業界はまだ10年そこそこしか歴史のない業界ですが、ざっとここ5年をさかのぼるだけでも、デザインスタイル(テクノロジによるところも大きいですが)の変化が見て取れます。 業界の10年選手であれば今更ですが、この数年でプレーヤーになった方には、いわゆる「Webサービス」「ホームページ」のあり方がどう変わって、Webデザインのスタイルがどう変わったのかを知ってほしい、と。 いま流行っているスタイルは何となく体感する機会は多いですが、過去の土台があって現状があるという事実は知っておいて損はないものです。
これは主観ですが、5年くらい前のWebデザインって、サイバーだったりツルツル・ピカピカだったり、やたら要素が小さくてシャープだったりと、Webデザインは「未来的であるべき」みたいな特別視する風潮が濃かった気がします。 まだ当時「わかっていない時代」だったから、具体的な成功モデルもつかめず、中の人が(僕含めて)凡人にも特別観のある「尖っている」「未来的であるべき」Webデザインを提示していたんでしょうね。 ユーザービリティという言葉は当時からよく言われていましたが、「3クリック以内で目的のコンテンツへ」みたいな標語的な概念から、地に足の着いたユーザー中心主義へと、だいぶ変化した気がします。
この前の「2.0」が過ぎたころから、効果検証もしやすいことが当たり前に認知されて、ソーシャルプラットフォームの台頭でプロモーション効果が見えやすくなり、Webマーケティングが企業の業績にインパクトがあることが知られ、やっと最近になって「Webって使える」が一般認識になったかな、と。 だから形式ばって肩に力の入った「尖っている」「未来的であるべき」Webデザインが、求められるものがより実践的に(普通の人たちに近く)なって、コンテンツ本来のあり方にフィットする「Webデザイン」としてなじんできたなぁ、と。 もちろんWebの性格上、きっと今後も実験的・挑戦的なWebデザインはなくならないでしょうが、少なくとも「こんなコンテンツだからこのWebデザイン」という関係が、今ははっきりしてるんです。
大事なのは、自分たちより優秀な先人たちが何度も試行錯誤してきた過程を知ることで、「同じ過ちをしないで済む」「いまのセオリーの理由がよくわかる」ということ。 過去を踏まえて、今の世の中がどんなステージなのか理解した上で、Webのモノづくりに取り組むのは大事なこと。 歴史を知れば、セオリー意外の選択をする時に(若いときは絶対やりたい!)、セオリーの利点を壊さず(あるいはトレードオフを理解して)攻める方法がわかるハズ。 地味なんだけど、せっかくDLDBも長く続けでいるので、Webデザイン史の年表的な使い方もしてほしい、と。 DLDBも、そろそろ「フィットするWebデザイン」にリニューアルしたいんですがね…いずれは。 ではよいお年を~!

